「自分だけのオリジナル天然酵母を作ってみたいな」
「身近な材料で、美味しいパンになる酵母を育ててみたい!」
「旬のぶどうを使って酵母を作る方法を知りたいけど、どうやればいいの?失敗しないか心配…」
そう思って「天然酵母 自作 ぶどう 酵母 作り方」と検索されたあなたへ。
はい、美味しい旬のぶどうを使って、自分だけの天然酵母スターター(ぶどう酵母)を作ることは十分に可能です!
ぶどうの持つ豊かな香りと、表面に多く付着している野生酵母の力で、力強く風味豊かな酵母を育てることができます。
時間はかかりますが、生きている酵母を育てる過程は格別の楽しさがあります。
焼きあがったパンは市販のイーストや他の天然酵母にはない奥深い風味になります。
今回の記事では、ぶどう酵母のスターターをゼロから「自作する方法」を、「酵母液」を作るステップと、それを元に「元種」を起こすステップに分けて、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。
さらに、失敗しないための【超重要ポイント】、発酵の見極め方、そしてよくあるトラブルとその原因・対処法まで網羅します。
この記事を参考に、ぜひあなただけのぶどう酵母作りに挑戦して、自家製天然酵母パンの世界への第一歩を踏み出しましょう!
自作「ぶどう酵母」とは?その魅力とプロセス
自作の「ぶどう酵母」とは、ぶどうの表面などに付着している野生の酵母の力を借りて、水と砂糖を栄養にして発酵させ、パン作りに使える状態に培養した天然酵母スターターのことです。
魅力
ぶどう由来のフルーティーで華やかな香りがパンに加わります。
酵母の種類やぶどうの品種によっても風味が異なり、自分だけの個性的なパン作りが楽しめます。
ぶどうは表面の白いブルーム(果粉)に酵母が多く付着しているため、比較的酵母を起こしやすい材料と言われています。
プロセス
ぶどう酵母スターターを作る過程は、主に以下の2つのステップで進めます。
酵母液(こうぼえき)を作る
ぶどう、水、砂糖を使って、酵母が活発に活動する「酵母液」を作ります。
元種(もとだね)を起こす
活発な酵母液と粉(小麦粉など)を混ぜて、パン生地の発酵に直接使える「元種」に育てていきます。
ぶどう酵母「酵母液」の作り方
まずは、パンを膨らませる元となる酵母が活発に活動する「酵母液」を作ります。
【必要なもの】
- ぶどう: 1房 または 100g〜150g程度 (新鮮で、表面の白いブルーム(果粉)がしっかりついているものがおすすめです。有機栽培や無農薬のものがより良いと言われます。)
- 水: 200ml〜300ml (カルキ抜きの水、またはミネラルウォーター。水道水を使う場合は、沸騰させて冷ますか、一晩汲み置きしてカルキを抜きましょう。)
- 砂糖: 大さじ1〜2 (ぶどうの糖度が高いので、少量でも大丈夫な場合が多いですが、酵母の初期の餌になります。)
- 蓋付きの清潔なガラス瓶: 500ml以上の容量推奨 (煮沸消毒するか、よく洗って熱湯を回しかけ、しっかり乾燥させてください。)
【作り方】
- ぶどうの下準備: ぶどうは流水でさっと洗い、水気を優しく拭き取る程度にしましょう。表面の白いブルームなどに酵母が多く付着しているため、ゴシゴシ洗ったり、洗剤を使ったりするのは避けます。枝から実を外し、傷んだ粒があれば取り除きます。
- 瓶に入れる: 煮沸消毒してしっかり乾かしたガラス瓶に、枝から外したぶどうを入れます。粒を軽く潰すと、酵母が出やすくなります。(必須ではありません。)
- 水と砂糖を加える: 瓶にカルキ抜きの水を静かに注ぎ入れ、砂糖を加えます。
- 混ぜる: 清潔なスプーンなどで軽く混ぜ、砂糖を溶かします。
- 蓋をする: 蓋をしますが、完全に閉めきらず、少し緩めておきます。 (発酵でガスが発生するため、密閉すると瓶が破裂する危険があります!)または、清潔なガーゼや布などを輪ゴムで留めてもOKです。
- 暖かい場所に置く: 直射日光の当たらない、暖かい場所(20℃〜30℃が目安、特に25℃前後がベスト)に置きます。温度が低いと活動が非常にゆっくりになります。
【毎日のお世話】
- 1日1回、瓶を優しく振ります。 (ぶどうに付着した酵母を水に馴染ませる、酵母に酸素を供給する、溜まったガスを抜く、カビを防ぐといった効果があります。)
- 瓶の中の様子を観察します。 泡が出ているか、ぶどうの状態、水の濁り、匂いなどをチェックします。
【完成の目安・サイン】
- 数日後(目安: 2〜5日後)、ぶどうから小さな泡が出始めます。
- 酵母が活発になると、シュワシュワとたくさんの泡が出続け、瓶を振ると泡が一気に上がってくるようになります。
- 水が濁ってきたり、ぶどうの周りや底に沈殿物(オリ)が溜まってきたりします。
- 匂いが、ぶどうの甘い香りに加えてフルーティーな発酵臭や、ほんのりアルコールのような匂いになってきます。(腐敗臭や強すぎる酢酸臭はNG)
- 最も確実なサインは、泡がピークを過ぎて落ち着いてきても、瓶を振るとまた勢いよく泡が立ち上がることです。
【目安期間】
温度や環境によりますが、酵母液の完成まで3日〜10日程度かかることが多いです。
冬場はもっと時間がかかります。焦らず、サインを見極めることが大切です。
ぶどう酵母「元種」の起こし方
活発なぶどう酵母液ができたら、それを元に粉を使って「元種」を育てていきます。
元種が、実際にパン生地を膨らませる力を持ったスターターになります。
【必要なもの】
- 完成したぶどう酵母液:
- 強力粉 または 製パン用米粉: (酵母液と同じか、少し多めの量の粉を用意します。最初は少量から始めるのがおすすめです。)
- 清潔なボウル、スケール(はかり)、ゴムベラなど
- 蓋付きの清潔な容器: ジャムの空き瓶やタッパーなど (ある程度膨らむ余裕のあるサイズを選びましょう。)
【作り方】
- 酵母液を漉す: 完成した酵母液を、茶こしなどで漉して、ぶどうを取り除きます。(ぶどうは食べても、料理に使っても、もちろん捨ててもOKです。)
- 「種起こし」初日
- 清潔なボウルに、酵母液と粉を準備します。(例: 酵母液 50g + 強力粉 50g または 米粉 50g)
- 泡立て器などで粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせ、ペースト状にします。
- 混ぜた生地を清潔な容器に移し、蓋をしますが、酵母液と同様に完全に密閉せず、少し緩めておくか、ラップをして爪楊枝などで数カ所穴を開けておきます。
- 暖かい場所(20℃〜30℃が目安、25℃前後がベスト)に置きます。
- 毎日のお世話(種継ぎ)
- 1日1回〜2回(酵母の活動状況による)、容器の中の様子を観察します。生地が膨らんでいるか、匂いはどうかなど。
- 生地が膨らんで容積が増えた後、しぼみ始めたタイミングで「種継ぎ」を行います。
- 種継ぎのやり方: 容器の中の生地の一部を捨てるか取り分け(例: 元の量の半分を捨てる)、新しい粉と、新しい水または酵母液を加えます。(例: 残った生地 50g + 新しい粉 50g + 新しい水または酵母液 30g〜50g など。粉と水/酵母液の比率は生地の硬さを見ながら調整。)
- 新しい材料とよく混ぜ合わせ、再び容器に戻し、蓋を緩めて暖かい場所に置きます。
- 最初は膨らみがゆっくりかもしれませんが、種継ぎを繰り返すことで酵母が安定してきます。
- 完成の目安・サイン
- 種継ぎを数日(目安: 3日〜7日)繰り返すと、生地が種継ぎ後、決まった時間内(例: 4〜6時間後など)に元の大きさの2倍〜3倍に安定して膨らみ、気泡がたくさん見られるようになります。
- 匂いが、心地よい発酵臭(少しアルコール臭とフルーティーな香り)になり、酸っぱすぎる匂いや不快な匂いはありません。
- 生地に少し弾力があり、スプーンなどで混ぜるとプツプツと気泡が潰れる音がします。
- (小麦粉元種の場合)生地に指を刺すと、跡がゆっくり戻ってくる(フィンガーテスト)。
【目安期間】
酵母液から元種が完成するまで、種継ぎの期間を含めて3日〜1週間程度かかることが多いです。
酵母の力や温度によって期間は変動します。
ぶどう酵母作りを「失敗しない」ためのコツ【よくあるトラブルと原因】
ぶどう酵母作りでつまずきやすいポイントと、失敗しないための具体的なコツ、そしてよくあるトラブルとその原因・対処法です。
りんご酵母など他の天然酵母作りと共通する点が多いです。
ぶどうならではの注意点もあります。
徹底した衛生管理
使う瓶や道具は必ず清潔にしましょう。
特にカビや雑菌の繁殖を防ぐために、煮沸消毒やアルコール消毒、しっかり乾燥させる工程が重要です。
天然酵母 元種・酵母液のおすすめ保存容器は?失敗しない選び方、蓋の使い方
適切な温度管理
酵母が元気に活動するためには温度が非常に重要です。
特に酵母液、元種を起こす初期段階は、25℃前後を保てる場所を選びましょう。
温度が高すぎると雑菌が繁殖しやすく、低すぎると活動が鈍くなります。
カルキ抜きの水を使う
水道水に含まれるカルキ(塩素)は、酵母の活動を阻害する可能性があります。
必ずカルキ抜きをした水かミネラルウォーターを使いましょう。
ぶどうの洗い方に注意
ぶどうの表面に付着している白いブルームに酵母が多くいるため、洗いすぎは禁物です。
さっと水で流す程度にし、優しく水気を拭き取るだけにしましょう。
傷んだ粒はカビや雑菌の原因になるので取り除きます。
毎日のお世話を怠らない
特に酵母液は毎日優しく振り、元種は生地の状態を観察して適切なタイミングで種継ぎを行いましょう。
お世話を怠ると酵母が弱ったり、雑菌が繁殖したりします。
蓋は密閉しない
ガスが発生するため、瓶や容器の蓋は必ず緩めるか、穴を開けるなどしてガスが抜けるようにしておきましょう。
【よくあるトラブルとその原因・対処法】
酵母液が活動しない(泡が出ない)
【原因】
温度が低い
使ったぶどうに酵母が少なかった(農薬など)
水にカルキが残っていた
瓶の消毒が不十分で雑菌が繁殖した
ぶどうの洗いすぎ
【対処法】
暖かい場所に移す
新しいぶどうを少量追加してみる
水を替えてみる
一旦諦めて新しいぶどうでやり直す
カビが生える
【原因】
衛生管理が不十分だった
空気の入れ替え(振る作業)が足りない
温度が高すぎる
ぶどうの傷み
【対処法】
残念ですが、カビが生えた酵母液や元種は使用できません。
必ず破棄して、最初からやり直してください。
使う道具の消毒をより徹底し、ぶどうも新鮮で傷みのないものを選びましょう。
変な匂いがする(腐敗臭、強すぎる酢酸臭)
【原因】
雑菌が繁殖している
温度管理が不適切(高すぎる)
酵母が弱ってバランスが崩れた
種継ぎの間隔が長すぎた(元種の場合)
【対処法】
腐敗臭がする場合は破棄します。
強すぎる酢酸臭(ツンとする匂い)の場合は、酵母のバランスが崩れている可能性があります。
元種の場合は、種継ぎの際に古い種をいつもより多めに破棄して、新しい粉と水を多めに加えて(リフレッシュ継ぎ足し)、数回繰り返して様子を見ます。
不快な匂いが続く場合は破棄を検討します。
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完成したぶどう酵母(元種)の保存と使い方
無事にぶどう酵母の元種が完成したら、いよいよパン作りに使えます!
保存方法
元種は冷蔵庫(4℃〜8℃程度)で保存します。
冷蔵庫に入れることで酵母の活動が緩やかになり、毎日種継ぎをする必要がなくなります。
[天然酵母(元種)の詳しい保存方法・種継ぎについてはこちら!]
天然酵母「元種」の正しい管理・保存方法と継ぎ足し徹底ガイド【失敗しない育て方】
冷蔵庫保存中の種継ぎ頻度や、元種が減ってきた場合の増やし方についても解説しています。
パン作りに使う前のお世話
冷蔵庫で保存していた元種を使う際は、事前に冷蔵庫から出して室温に戻します。
1〜2回種継ぎをして酵母を活性化させてから使うのがおすすめです。
パン作りでの使い方
お手持ちの天然酵母パンレシピの「元種」を、作ったぶどう酵母元種に置き換えて使用します。
レシピによって、酵母液の状態で使う場合や、元種を使う場合があります。
[天然酵母を使ったパンの基本レシピはこちら!]
天然酵母パンの「作り方」完全ガイド:基本プロセスから米粉パンまで【初心者向け】
- 当サイトの米粉天然酵母パンレシピも参考にしてください。
他のフルーツ酵母の作り方もご紹介しています。
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「天然酵母 自作 ぶどう 酵母 作り方」をお探しの方へ。
ぶどう酵母スターターを自宅で作る方法は、「酵母液作り」と「元種起こし」の2ステップです。
- ステップ① 酵母液: 旬のぶどう、水、砂糖を瓶に入れ、暖かく(25℃前後)置いて毎日優しく振る。泡がたくさん出たらOK。
- ステップ② 元種: 酵母液と粉を混ぜ、毎日種継ぎする。安定して2〜3倍に膨らむようになったらOK。
- 失敗しないコツ: 衛生管理、温度管理、ぶどうの洗い方、毎日のお世話が最も重要。
- よくある失敗: 活動しない、カビ、変な匂い。原因を知って正しく対処(カビは破棄!)。
旬のぶどうを使うことで、酵母が元気になりやすく、風味豊かな酵母が育ちます。
時間はかかりますが、日々変化を観察する過程は楽しく、完成した酵母で焼くパンは格別の美味しさです。
ぜひこの記事を参考に、あなただけのぶどう酵母作りに挑戦してみてくださいね!