「自分で酵母を育てて、パンを焼いてみたい!」

もしあなたが今、そう思って「自家製天然酵母」と検索しているなら、いよいよパン作りの、そして発酵の世界の深い扉を開ける時が来ました!

自家製天然酵母(自家製酵母とも呼ばれます)は、自然の力を借りて自分だけの酵母種を作り出す、とても魅力的で奥深い取り組みです。

市販のイーストでは出せない風味や食感。

そして何より、酵母を育て、それがパンを膨らませる様子を見守る喜びは格別です。

最初は難しそうに感じるかもしれません。

しかし、基本を知れば、誰でも自家製酵母作りに挑戦できます。

この記事では、

自家製天然酵母とは何か?

なぜ自分で作るのか?

基本的な「作り方」の考え方

様々な「種類」

日々の「育て方」

「パンへの使い方」

までを分かりやすく解説します。

さあ、あなただけの自家製天然酵母を育てて、特別なパン作りの世界へ踏み出しましょう!

なぜ「自家製天然酵母」を作るの?その魅力とは

自家製天然酵母作りは、時間も手間もかかります。

しかし、それ以上に大きな魅力があります。

唯一無二の風味と香りが生まれる

使う材料(果物、穀物など)や環境、育て方によって、酵母の種類やバランスが変わります。

その酵母で焼いたパンは、あなただけのオリジナルな風味と香りを持ちます。

「生きている」酵母を育てる喜び

材料から酵母が目覚め、ぷくぷくと活動する様子を観察し、日々のケアを通して酵母を育てる過程は、愛着が湧き、パン作りがより豊かな体験になります。

安心・安全な材料で作りたい

自分で作ることで、使う材料を厳選できます。

発酵の世界への深い理解

酵母の活動を肌で感じることで、パンの発酵だけでなく、味噌や醤油など他の発酵食品への理解も深まります。

発酵食品ってそもそも何?米粉パン作りに活かす発酵の力

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自家製天然酵母の「作り方」 基本の考え方

自家製天然酵母を作る基本的なプロセスは、大きく分けて二つのステップから成ります。

酵母液を作る(酵母を「起こす」)

これは、文字通り酵母が活動を始めるための「種水」を作る工程です。

新鮮な果物、ドライフルーツ、穀物(小麦、米、米麹など)といった酵母源となりうる材料に、水と少量の砂糖(酵母の餌)を加え、清潔な瓶や容器に入れて温度管理しながら置きます。

数日~1週間ほどで、ぷくぷくと泡が出てきたり、液体が濁ったりと、酵母が目覚めて活動している兆候が見られます。

ポイント

酵母源となる材料や水、容器は清潔に保つことが重要です。

温度(20℃~30℃程度が一般的)によって活動速度が大きく変わります。

元種を作る・育てる(酵母を「継ぎ足す」)

酵母液だけではパンを膨らませる力が弱い、または量が少ないため、この酵母液とパンの材料となる粉(小麦粉、ライ麦粉、米粉など)を混ぜ合わせ、「元種(もとだね)」と呼ばれる、パン作りに使える状態の酵母種に育てていきます。

元種は、その後も定期的に粉や水を加えて継ぎ足し、酵母の活性を維持して使います。

ポイント

元種の材料や継ぎ足す頻度は、酵母の種類(フルーツ酵母、サワー種、酒種など)によって異なります。

日々の観察と適切な管理が必要です。

どんな種類がある?材料で変わる自家製酵母

自家製天然酵母は、何から「起こす」かによって様々な種類があります。

それぞれに特徴があります。

フルーツ酵母

レーズン、りんご、いちご、柑橘類などの果物を使って作る酵母です。

フルーティーで華やかな香りが特徴で、お菓子系のパンなどにもよく合います。比較的初心者でも起こしやすいと言われます。

レーズン酵母の詳しい作り方・育て方はこちら!

レーズン酵母の「作り方」完全ガイド:酵母液・元種の起こし方から育て方まで【初心者向け】

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サワー種 / ルヴァン種

主に小麦粉やライ麦粉と水を混ぜて作る、欧米で広く使われる天然酵母です。

乳酸菌の働きが強く、独特の酸味と、しっかりとした骨格のパンに仕上がります。

継ぎ足しの回数や水分量で状態が変わります。

酒種(さかだね)

炊いたご飯や米粉、米麹、水を元に作る、日本に古くから伝わる伝統的な天然酵母です。

お米由来の優しい甘みと芳醇な香り、穏やかな酸味が特徴で、しっとり、もちもちのパンになります。

当ブログでも特におすすめしている酵母です。

日本の伝統酵母「酒種」の詳しい作り方・育て方はこちら!

酒種とは?日本の伝統酵母「酒種」の魅力、作り方、使い方を徹底解説【完全ガイド】

酒種とは?日本の伝統酵母「酒種」の魅力、作り方、使い方を徹底解説【完全ガイド】

この他にも、ヨーグルト酵母、野菜酵母、ビール酵母など、様々な自家製天然酵母が存在します。

「元種」の育て方と日々の管理

一度できた元種は、冷蔵庫で保存し、週に一度程度「継ぎ足し」てあげることで長期保存が可能です。

パンを作る前に常温に戻し、再度継ぎ足して「活性化」させてから使います。

継ぎ足し(リフレッシュ)

元種の一部を取り分け、新しい粉と水を加えて混ぜる作業です。

これで酵母に新しい餌を与え、元気に保ちます。

日々の観察

元種の状態(膨らみ、気泡、香り)を観察することが大切です。

活発な元種は、継ぎ足すと数時間でぷくぷくと膨らみ、ヨーグルトのような、または少しお酒のような良い香りがします。

自家製酵母の元種の詳しい育て方、保存方法、状態の見極め方については、こちらの記事で詳しく解説しています!

酒種酵母の作り方【初心者,未経験者でも簡単にできる方法】

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酒種酵母の種継ぎ方法を徹底解説!

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成功させるための「コツ」と「失敗」の乗り越え方

自家製天然酵母作りには、いくつかのコツと、時には失敗もあります。

成功のコツ

清潔第一

使う道具や容器はしっかり消毒・洗浄する。

温度管理

酵母が好む温度(種類によるが20~30℃程度)を保つ。

良い材料

新鮮で元気な果物や、信頼できる米麹などを使う。

忍耐

酵母が目覚めるまで、焦らずじっくり待つ。

観察

日々の変化(泡、香り、分離など)をよく観察する。

よくある失敗と対策

泡が出ない/活動しない

温度が低い、材料が古い、酵母が少ないなど。

温度を上げたり、餌(砂糖など)を少し加えたり、根気強く待つ。

カビが生える

雑菌が入った、温度が高すぎる、乾燥しているなど。

残念ですが廃棄してやり直す。

清潔が重要。

変な臭いがする

腐敗臭やきついアルコール臭は失敗のサイン。

雑菌が入ったか過発酵の可能性。

自家製天然酵母作りの詳しい失敗例とトラブルシューティングはこちら!

いよいよパン作りに!自家製天然酵母の使い方

元気な自家製天然酵母(元種)ができたら、いよいよそれを使ってパンを焼きましょう!

自家製酵母を使ったパン作りは、ドライイーストを使う場合とはレシピや発酵時間が異なります。

使い方

元種をレシピの分量だけ使い、粉や水分と一緒に混ぜて生地を作ります。

元種の活性によって必要な量が変動することもあります。

発酵時間

イーストよりもゆっくりと発酵が進むため、一次発酵・二次発酵ともに長い時間が必要です。

(室温や元種の力によりますが、数時間~一晩以上かかることも)。

生地の見極め

時間だけでなく、生地の膨らみ方や柔らかさ、香りなどをよく観察して発酵完了を見極める感覚が重要になります。

自家製天然酵母を使った美味しいパンのレシピはこちらから探せます!

「おうちで本格」酒種パンの基本レシピ:天然酵母の芳醇な香りを自宅で(米粉パン好きにも)

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米粉パンホームベーカリー

天然酵母米粉パンをホームベーカリーで作る!

自家製天然酵母作りは、手間と時間がかかる分、それを乗り越えた時の喜びと、生まれてくるパンの美味しさは格別です。

酵母を育てる過程そのものが、あなたのパン作りライフを豊かにしてくれるでしょう。

果物から起こす?

それとも日本の伝統、酒種に挑戦する?

様々な自家製天然酵母の世界への扉は開いています。

この記事が、あなたが自家製天然酵母作りの一歩を踏み出すための助けとなれば嬉しいです。

失敗を恐れず、ぜひあなただけの「生きている」酵母を育てて、特別なパン作りを楽しんでください!

そして、困ったことや、もっと知りたいことがあれば、いつでも当ブログを訪れてくださいね。