自家製天然酵母に挑戦したものの、うまくいかなかった経験はありませんか?
「酵母液が泡立たない」
「元種にカビが生えた」
「天然酵母で焼いたパンが全然膨らまない」
「カチカチのパンになった」
…など、天然酵母でのパン作りや酵母育てには、イーストとは違う難しさがあり、失敗談はつきもの。
せっかく時間と愛情をかけたのに、残念な結果になってしまうと落ち込みますよね。
でも、安心してください!
天然酵母が失敗するのには、必ず理由があります。
そして、その原因を知り、適切な対策を取れば、失敗を乗り越えて美味しい天然酵母パンを焼くことができるようになります。
この記事では、
天然酵母作り(自家製酵母の作成・管理)
天然酵母を使ったパン作り
それぞれの段階で起こりやすい失敗を症状別に徹底解説します。
それぞれの失敗の「原因」と、今日から実践できる具体的な「解決策」を詳しくご紹介。
この記事が、あなたの天然酵母ライフの「困った!」を解決します。
きっと、成功への道しるべとなるはずです。
さあ、失敗の原因を理解して、天然酵母と上手に付き合っていく方法を学びましょう!
失敗は当たり前?天然酵母がデリケートな理由
天然酵母が「失敗しやすい」と言われる理由があります。
市販のイーストが特定の酵母菌のみを純粋培養しています。
しかし、天然酵母は様々な酵母菌や乳酸菌などが共存する、いわば「生きている生態系」だからです。
温度、湿度、餌となる材料の状態、容器の清潔さといった様々な環境要因に影響されやすく、レシピ通りにしても毎回全く同じようになるとは限りません。
このデリケートさが、天然酵母の風味の豊かさや面白さである反面、失敗の原因にもなり得ます。
失敗は、決してあなたのせいではありません。
天然酵母の特性を知り、その声を聞き取る練習だと思って、気楽に向き合いましょう。

天然酵母とは?自家製酵母の魅力、種類、作り方、パンへの使い方完全ガイド

【酵母作り編】自家製天然酵母(酵母液・元種)のよくある失敗と解決策
まずは、自家製酵母を「作る」「育てる」段階で起こりやすい失敗を見ていきましょう。
酵母液や元種が全然泡立たない・活動しない
酵母が目覚めず、発酵の気配が全くない状態です。
【考えられる原因】
温度が低い/高すぎる
酵母が活動しやすい温度(多くは20~30℃程度)から外れている。
特に低すぎることが多い。
材料が古い/合わない
レーズンなどの酵母源となる材料に元気がない。
塩素の強い水道水を使ったりしている。
餌(糖分や粉)が足りない/多すぎる
初期の糖分が少なすぎる。
または元種の継ぎ足しで粉や水のバランスが悪い。
まだ時間が経っていない
酵母が目覚めるまでには時間がかかる(特に環境が合わない場合)。
容器が清潔でない
雑菌が多くて酵母が増殖しにくい。
【解決策】
レシピで推奨されている適温をしっかり保つ。
冬場などはウォーマーや発酵器を活用する。
新鮮な無添加・ノンオイルのレーズンなど、元気な材料を使う。
塩素を抜いた水を使う。
レシピ通りの材料のバランスを守る。
初期の酵母液なら少量(全体の1%程度)の砂糖を加えてみる。
焦らず、根気強く数日待ってみる。
温度を少し上げてみる。
容器や道具は必ず煮沸消毒するなど、徹底的に清潔にする。
自家製酵母の詳しい起こし方や元種の作り方はこちらを確認しましょう!

自家製天然酵母の「作り方」完全ガイド:元種の育て方からパンへの使い方まで【初心者歓迎】

酒種とは?日本の伝統酵母「酒種」の魅力、作り方、使い方を徹底解説【完全ガイド】

レーズン酵母の「作り方」完全ガイド:酵母液・元種の起こし方から育て方まで【初心者向け】
カビが生えた
酵母液や元種の表面に、白、青、緑、黒などのフワフワしたカビが生えてしまった状態です。
【考えられる原因】
雑菌の混入
容器や道具が清潔でない。
材料にカビや傷みがあった。
空気中から雑菌が入った。
温度が高すぎる
雑菌が繁殖しやすい温度だった。
空気に触れすぎている
表面が乾燥したり、雑菌が付着しやすくなったりした。
【解決策】
残念ですが、カビが生えた酵母液や元種は破棄してください。
健康を害する可能性があるため、使わないでください。
容器や道具は徹底的に煮沸消毒し、乾燥させてから使う。
新鮮で傷みのない材料を選ぶ。
適切な温度管理をする。
蓋は完全に密閉せずガスが抜けるようにしつつも、サランラップをぴったりと表面に貼るなどして空気に触れる面積を減らす。
酵母作りの清潔のポイントはこちらでも解説しています。
ドロドロに分離する / 透明な液体が出る / 硬すぎる
酵母液の上に透明な層ができたり、元種が液状になったり、逆に硬くなったりする状態です。
【考えられる原因】
分離・液状化
酵母が餌(糖分や粉)を食べ尽くしてお腹が空いている状態です。
硬すぎる
継ぎ足す水分が少ない。
粉が多すぎる。
【解決策】
分離・液状化の場合は、継ぎ足し(餌をあげる)をしましょう。
混ぜて様子を見ることも有効です。
元種が硬い場合は、継ぎ足す水分の量を増やすなど、硬さを調整しましょう。
元種の状態の見極め方や継ぎ足しのポイントはこちらをご覧ください!

変な臭いがする(きついアルコール臭、腐敗臭、シンナー臭など)
甘くフルーティーな良い香りでなく、不快な臭いがする状態です。
【考えられる原因】
過発酵
発酵が進みすぎてアルコール臭が強くなった。
違う種類の菌が繁殖
雑菌が入った、または意図しない菌が優勢になった。
腐敗が始まっている可能性。
【解決策】
腐敗臭やシンナーのような刺激臭がする場合、雑菌が入っている可能性が高いです。
安全のため破棄を強く推奨します。
- きついアルコール臭の場合は、まだ使えることもあります。
- 力価が落ちている可能性があります。
- 清潔管理と温度管理を見直して再挑戦しましょう。
- 天然酵母の香りの正常・異常の見極め方はこちらでも確認できます。
【パン作り編】天然酵母パンのよくある失敗と解決策
元気な元種ができても、パン作りで失敗することもあります。
生地が全然膨らまない / 膨らみが悪い
これは天然酵母パン作りの最も多い悩みの一つです。
【考えられる原因】
元種の活性が低い
パン作りに使う元種が十分に元気な状態ではなかった。
発酵温度が低すぎる/高すぎる
生地が発酵しやすい温度帯から外れている。
発酵時間が短い
天然酵母はイーストより時間がかかります。
レシピの時間を参考に、生地の状態を見て判断する必要がある。
生地の温度が低い
材料(特に水分)が冷たすぎた。
室温が低い。
生地が乾燥した
発酵中に表面が乾燥すると膨らみにくくなる。
(米粉パン/GFの場合) バインダー不足/品質問題
グルテンがないため、つなぎが足りないと膨らみを保てない。
【解決策】
パン作りに使う前に、元種をしっかり継ぎ足し、常温で元気よく膨らむまで活性化させてから使う。
一次発酵、二次発酵ともにレシピで推奨されている温度帯(多くは25~35℃程度)を保つ。
時間に縛られすぎず、生地がレシピで示された目安の大きさになるまで、根気強く発酵時間を取る。
仕込み水や牛乳を人肌に温めるなど、生地温度を冷やしすぎないように注意する。
発酵中はラップやビニール袋などで生地を覆い、乾燥を防ぐ。
(米粉パン/GFの場合) レシピ通りのバインダーを正確に計量して使う。

米粉パンの失敗原因と解決法を徹底解説!もう「膨らまない」「固い」で悩まない【初心者必見】
膨らみはするけど、中が詰まっている・固い・キメが粗い
焼きあがったパンが重たい、弾力がない、またはボソボソとした感じになる状態です。
【考えられる原因】
発酵(一次・二次ともに)不足
ガスが十分に発生せず、生地の骨格が十分に発達しなかった。
元種の力が弱い
十分に膨らませる力がなかった。
生地の混ぜ方/捏ね方不足
グルテン(小麦の場合)やバインダー(米粉の場合)が十分に機能していない。
【解決策】
レシピの目安を参考に、生地が十分に膨らむまで発酵時間を取る。
特に一次発酵でしっかり生地を作るのが重要。
パン作りに使う元種は、事前にしっかり活性化させて元気な状態にしておく。
レシピで示された通りに、生地をしっかり捏ねる(小麦の場合)か、バインダーと共に混ぜ合わせる(米粉の場合)。

大きく膨らんだのに、焼成中/後にしぼむ(腰折れ)
窯伸び(オーブンでの膨らみ)が悪かったり、焼きあがった後にしぼんでしまったりする状態です。
【考えられる原因】
過発酵!
特に二次発酵で生地を膨らませすぎた場合に起こりやすい。
生地の力がなくなり、ガスを支えきれなくなってしまいます。
元種の力が弱かった、または元種の量が多すぎた。
【解決策】
二次発酵の見極めが非常に重要!
レシピの目安時間より、生地の膨らみ具合と状態をよく見て、膨らみすぎる前に焼成に移る。
使う元種の量をレシピ通りにする。



皮だけが硬い / 全体的にパサつく
パンの外側が硬すぎたり、クラスト(皮)だけでなく中の生地も乾燥してしまったりする状態です。
【考えられる原因】
焼成時のオーブン庫内の乾燥
蒸気がないと生地表面がすぐに固まり、十分に膨らめず、皮が硬くなる。
焼きすぎ
焼き時間や温度が高すぎて、生地の水分が飛びすぎる。
発酵中の生地の乾燥
生地の表面が乾くと、上手く膨らまず、パサつきの原因になる。
【解決策】
焼成前にオーブン庫内に霧吹きをする、お湯を入れた耐熱容器を置くなど、蒸気を発生させる。
レシピ通りの焼き時間・温度を守る。
焼き色がつきすぎないようにアルミホイルをかぶせるなどの調整をする。
発酵中は生地全体をラップや大きなビニール袋などでしっかりと覆い、乾燥を防ぐ。
中が生焼け / ベタつく
焼きあがったのに、パンの中心部が生っぽかったり、全体がベタついたりする状態です。
【考えられる原因】
焼成時間や温度が足りない
生地内部までしっかりと熱が伝わっていない。
焼きあがった後、十分に冷まさずにカットした
パン内部の水分が湯気として逃げずに生地に戻り、ベタつく。
解決策
レシピ通りの焼き時間・温度でしっかりと焼く。
心配なら、竹串を刺してみて何もついてこないか確認したり、パンの底を叩いて軽い音がするか確認したりする。
必要であればアルミホイルをかぶせて、追加で焼き時間を取る。
焼きあがったら、必ず網の上で完全に冷ましてからカットする!
これが最も重要です。

酸味が強すぎる / 酸味がない
天然酵母パン特有の風味ですが、意図しないほど酸っぱかったり、全く酸味を感じなかったりする状態です。
【考えられる原因】
(強すぎる場合)
長時間の発酵、特に温度が高い場所での長時間発酵、特定の乳酸菌が優勢になっている元種を使っている。
(ない場合)
発酵時間が短い、乳酸菌の活動が弱い酵母を使っている。
【解決策】
発酵時間や温度を調整し、過発酵を防ぐ。
元種の継ぎ足し方法(温度や頻度)で乳酸菌と酵母のバランスを調整する(やや高度な技術)。
使っている天然酵母の種類によって酸味の出方は異なります(例:酒種は酸味が穏やか)。
失敗を乗り越えるための「天然酵母との向き合い方」
様々な失敗例を見ましたが、天然酵母とうまく付き合っていくための共通のコツがあります。
焦らない
天然酵母はゆっくりです。
レシピの時間にとらわれず、生地や酵母の状態をよく観察しましょう。
観察力を養う
酵母液の泡立ち、元種の膨らみ、生地の弾力や香りなど、五感を働かせて生地の声を聞きましょう。
これが一番のレシピになります。
温度管理を徹底する
酵母が活動しやすい温度を保つことが、失敗を減らす近道です。
清潔第一!
雑菌の混入を防ぐことが、カビや異臭といった致命的な失敗を防ぎます。
記録をつける
失敗した時も成功した時も、その時の温度、時間、生地の状態などを記録しておく。
原因の特定や再現に役立ちます。
失敗を恐れない
誰にでも最初は失敗があります。
失敗から学び、次に活かせば大丈夫!
失敗から学んで、美味しい天然酵母パンを目指そう!
天然酵母作りや天然酵母パン作りで失敗に直面するのは、ごく自然なことです。
この記事で解説した失敗原因と解決策を参考に、あなたの「困った!」を解決し、ぜひ再挑戦してみてください。
天然酵母の世界は、知れば知るほど奥深く、失敗を乗り越えて焼き上げたパンは、きっと格別の美味しさとなるはずです。
当ブログでは、
様々な天然酵母の「作り方」
天然酵母を使った美味しいパンの「レシピ」
も多数掲載しています。
ぜひこれらの記事も活用して、あなたの天然酵母ライフを成功させてください!
応援しています!
美味しい天然酵母パンのレシピはこちらから!

【グルテンフリー】レーズン酵母米粉パンレシピ:ふわもち食感と優しい風味
