暖かい季節になり、パン作りが楽しくなる一方で、「酒種」の管理が難しくなるのが「夏場」です。
「夏になると、酒種がなんだかいつもより元気すぎる…?」
「急にドロドロになったり、変な匂いがしたり、カビが生えたり、失敗しやすくなる気がする…」
そう思って「酒種 作り方 夏場 失敗しないコツ」と検索されたあなたへ。
夏場の高温多湿な環境は、酒種に含まれる酵母や微生物にとって発酵が進みすぎる、あるいは望ましくない雑菌が繁殖しやすい、まさに試練の季節です。
しかし、ポイントを押さえれば、夏場でも酒種を元気に保ち、美味しいパンを焼き続けることは十分に可能です!
今回の記事では、夏場の酒種作りや管理で「失敗しない」ための具体的な「コツ」を徹底解説します。
特に重要な「温度管理」の方法を中心に、継ぎ足しの頻度や衛生管理、そして夏場に起こりやすい失敗とそのサインまで。
夏場の管理方法をマスターして、あなたの酒種を安全に「夏越し」させましょう!
なぜ「夏場」は酒種作りの失敗が多いのか?
夏場に酒種作りや管理で失敗しやすくなる主な理由は、以下の2点に集約されます。
温度が高すぎる → 発酵速度が異常に速くなる
酒種に含まれる酵母や乳酸菌は、温度が高いほど活発に働きます。
夏場の室温は、酒種にとって最適な温度(一般的に25℃〜30℃程度)を大きく超えることが多くなります。
そのため、発酵が急激に進みすぎます。
発酵速度が速すぎる → 過発酵になりやすい & 雑菌が繁殖しやすい
急激な発酵は、酵母が餌(糖分)をあっという間に食べ尽くし、過発酵を引き起こしやすくします。
過発酵した種は力が弱くなるだけでなく、アルコール臭や酸味が強くなりすぎたり、他の雑菌が増殖しやすい状態になったりします。
また、湿度が高い環境は、カビなどの雑菌が繁殖するリスクも高めます。
つまり、夏場は「適切に発酵をコントロールすること」と「雑菌から守ること」が非常に難しくなる季節なのです。
酒種作りの夏場の「失敗しないコツ」【超重要】温度管理
夏場の酒種作りや管理で最も重要なのは、徹底した「温度管理」です。
酒種が快適に発酵できる温度帯を保つ工夫をしましょう。
涼しい場所を見つける
家の中で、直射日光が当たらない、エアコンの効いた部屋や、比較的温度が低い場所を選んで酒種を置きましょう。
床下収納や、北側の部屋などもよいでしょう。
冷蔵庫を賢く活用する!
夏場の常温管理は非常に難しいため、冷蔵庫を活用するのが最も現実的で失敗しにくい方法です。
基本は冷蔵庫で保管
継ぎ足しをして、酒種が少し活性化してきたら(少しプクプクしてきたら)すぐに冷蔵庫に移して低温でゆっくり発酵させます。
使う時だけ、数時間前に冷蔵庫から出して室温に戻し、必要であれば軽く活性化させてから使いましょう。
冷蔵庫内の場所
ドアポケットは温度変化が大きいので避けます。
庫内の奥の方や、野菜室よりも温度が低いチルド室に近い場所などを選びましょう。
野菜室は温度が高めの機種もあるので要確認。
冷たい材料で継ぎ足し
継ぎ足しに使うご飯、米麹、水は、あらかじめ冷蔵庫で冷やしておいたものを使うと、全体の温度上昇を抑えられます。
保冷剤や冷水で温度調整
常温で発酵させたい場合や、冷蔵庫に入れるまでもない温度の場合は、酒種の容器を、保冷剤や冷水を入れたボウルなどで囲んで温度が上がりすぎるのを防ぐ方法も有効です。
容器に直接保冷剤が触れると冷えすぎる場合があるので注意。
温度計で確認する
酒種を置いている場所や、酒種自体の温度を温度計で確認します。
適切な温度帯になっているか把握しましょう。
一般的に25℃〜30℃程度が目安です。
管理しやすい温度を見つけましょう。
夏場の「失敗しないコツ」継ぎ足し・衛生管理・観察
温度管理と並行して、以下の点にも注意が必要です。
継ぎ足しの頻度・量を見直す
頻繁に継ぎ足す
もし常温で管理するなら、発酵が早く進むため、これまでの倍以上の頻度で継ぎ足しが必要になることも。
1日1回ではなく、朝晩2回など、発酵のピークが来る前に餌を与えるようにします。
餌の量を減らす
継ぎ足しごとに与えるご飯や米麹の量を減らすことで、一度の発酵で生成される糖分を少なくし、過発酵になりにくくする方法もあります。
衛生管理を徹底する!
夏場は雑菌が繁殖しやすいです。
酒種の容器や蓋、混ぜるスプーンなどは、使う前に洗剤で洗います。
必要であれば熱湯消毒やアルコール消毒を徹底しましょう。
手も清潔にしてから作業します。
これにより、カビや悪臭の原因となる雑菌の混入を防ぎます。
状態をこまめに観察する!
発酵の進み具合、匂い、色、表面の様子(泡立ち、分離など)を、冬場や春先よりも格段に頻繁に、注意深くチェックしましょう。
少しでも異変を感じたら、早めに対処することが重要です。
夏場に起こりやすい「失敗サイン」と対処法
夏場に酒種作りでよく起こる失敗とそのサイン、対処法です。
強いアルコール臭 / ツンとする酸っぱい匂い
サイン
甘い発酵臭よりも、アルコールの匂いが強く感じられる、鼻につくような酸っぱい匂いがする。
【原因】
発酵が進みすぎている(過発酵)可能性が高いです。
アルコールが酢酸菌などで酢酸に変化している場合もあります。
【対処法】
継ぎ足しの頻度・量・温度管理を見直しましょう。
特に冷蔵庫での管理を徹底します。
必要であれば、リフレッシュのために古い種を多めに破棄してから新しい餌を継ぎ足します。
酒種のアルコール臭についてはこちらも詳しく!
酒種パンから「アルコール臭」?原因と正常・過発酵の見極め、対処法を解説
天然酵母の匂いを徹底解説!正常な香り、異常な匂い(酸っぱい・アルコール・腐敗)の原因と見分け方
元種がドロドロになる / 力なくしぼむ / 膨らまない
サイン
元気がなく、継ぎ足してもあまり膨らまない。
水っぽくドロドロになっている。
【原因】
過発酵で酵母の力がなくなっている。
または、微生物のバランスが崩れている可能性。
【対処法】
冷蔵庫での管理を徹底します。
古い種を多めに破棄し、新しい餌の比率を増やして継ぎ足す「リフレッシュ」を行い、元種を元気に立て直しましょう。
パンが膨らまない原因(元種が弱い、過発酵)はこちらも参考に!
パンが膨らまない原因と解決策【米粉パン特化】失敗する理由と膨らませる方法
カビが生える / ピンクや緑に変色する / 腐敗臭
サイン
表面や側面にカビ(白いフワフワや青緑など)が見える。
普段と違う変な色になっている。
納豆のような、腐敗したような嫌な匂いがする。
【原因】
望ましくない雑菌が繁殖しています。
【対処法】
残念ながら、その種は破棄してください。
容器などを洗剤で丁寧に洗い、熱湯消毒やアルコール消毒を徹底してから、改めて新しい種を仕込み直しましょう。
夏場は特に衛生管理を厳重に!
酒種の「夏越し」を成功させよう!
夏場の管理は少し手間がかかりますが、これらのコツを実践すれば、大切な酒種を安全に「夏越し」させることができます。
夏を乗り越えた酒種は、さらに力強く、風味豊かになるとも言われます。
酒種元種の詳しい作り方はこちら!
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夏場の酒種作りは「温度管理」と「こまめな観察」が鍵!
「酒種 作り方 夏場 失敗しないコツ」をお探しの方へ。
夏場の高温多湿は酒種作りの大きな壁ですが、「徹底した温度管理(特に冷蔵庫の活用)」、「継ぎ足しの頻度や量の見直し」、「衛生管理の徹底」、「状態をこまめに観察すること」を意識すれば、失敗を防ぐことができます。
もし強いアルコール臭や酸味、ドロつきなどのサインが見られたら、それは過発酵のサインかもしれません。
早めに対処し、必要ならリフレッシュさせましょう。
カビや腐敗臭の場合は残念ながら破棄して仕込み直しです。
これらの「失敗しないコツ」を実践して、夏場も酒種を元気に保ち、美味しいパンを焼き続けてくださいね!